挑戦〆リポート〆(23)

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2022年12月3日土曜日

挑戦〆リポート〆(23)



挑戦〆リポート〆(23)


◆【神話伝承学概論】設題1

書籍名「古事記はいかに読まれてきたか」

著者:斎藤 英喜

設題1:本居宣長の『古事記伝』の特徴について、近世神話の観点から論述しなさい。


まずは、前回提出のリポートの短絡的な愚かさをお詫びいたします。


本居宣長の古事記伝の特徴とは、おおらかな古代びとの世界を背景としたこと、中世の注釈学である中世日本紀の系譜を引き継ぎ、普遍的な世界性を持たせたこと、西洋天文学を基礎にした太陽暦を取り入れていることであると結論づけてみた。


おおらかな古代びとの世界は、実際に京の都で経験した京の遊楽の生活から得たものであり、京の近世の通俗文化にふれ、儒教道徳とは違う感覚得ていた。また、研究の元でもあった源氏物語の仕組みや取り組み、言葉選びからも影響を受け、もののあわれを取り入れて、雅の世界観と古事記を統合し、表したのだ。


中世の注釈学である中世日本紀の系譜を引き継ぎ、普遍的な世界性を持たせることで、地域性よりグローバリズムを主張できるようにした。ここにもアマテラスは何ものであると言う天文学的視点が伺える。


テキスト内に注目すべき章があった。P34の「ニ章『古事記伝』と近世神話」だ。この章を要約すると、江戸時代であったことで、『古事記伝』が生まれたとする解釈だ。また、我々の記憶にある神話の殆どは日本紀ではなく、この『古事記』であることもわかった。我々がよく知る神話なのだ。本居宣長としては仮名を使うことが最善とわかりながら、平仮名を使うことが出来なかった。それにより『古事記』の口誦の語りを伝えることに力を注いだ。そして、そこには皇国の語=古語という意味を持ち、物語を伝える手法を用い、物のあはれを知る物語として、伝えたかったのだ。日本紀で培われ、古事記の読みの力により『古事記伝』を生み出したと言える。また、ある意味、江戸時代の日本人の宣長が、他国の影響を上手く活用し、徳川の世にも関わらず、徳川の影響も受けず、古典として書きあげたのだ。


テキストにおいても「アマテラスと西洋天文学」という節を設け、丁寧に解説している。その理由として本人自身が、改暦を経験しているからとの見解だ。学者であるがゆえ、誤差出ることや改暦しなければならないようなことがなぜ起きるのか?そこまでの暦の正解さがなぜ必要であったのか?そして、その正確な暦をどう活用されているのか?と疑問を持つであろう。近世のナショナリズムも当時の暦を世に送り出すことは、かなりな知恵と知識と労力がいったはずである。それをしてまで手に入れたかった理由はなんなのか?だからこそ、活路を西洋天文学に求めたのではないか?しかも天文学の使い手であったキリシタンとの関わりもこのことを示唆しているのではないのか。本居宣長の神話は神話だけに留まらず、天と人の関わりを表し、国文学者ではなく、天文学を取り入れた近世神話を創造した者であると言えるはず。また、別に斎藤英喜先生のパネルセッションの記述をみると「『近世神話』という新たな方法概念を提示し、 日本思想研究における射程と方法的可能性について問題提起を試みたものである。神話とは、世界や自分自身、また自らを取り巻くあらゆるもののルーツを追い求め、明らかにしようとする営みの中で形成されてきたものである。古代、中世はもちろん、 近世、近代、現代にいたるどの時代であっても、それぞれの時代を切り開くための『神話』が求められ、創造されてきたといってよい。」とあった。


当然、前述どおり、背景には宣長が愛する京都の香りがある。京都でこの『古事記伝』を生んだ。そして、中世日本紀の中の神々の血筋とされている天子様のお膝元の京都の地ということも外さず、地域性に留まらない世界性をその時代背景と自由で楽しげな都会人の感性から見出したのだ。


儒学、易学と習合させた教養=近世神道の世界である神道と神話の関わりが神話学だとしたら、それとは異なる世界観でこの古事記伝は成り立っていると言える。知り得る古事記の姿ではない近世神話として後世に語り継がれるだろう。


最後に、私観ではあるが、密教と密接な関係があると言われる源氏物語は、天体占星学に準えて書かれているとの説がある。ひかるみなもとの氏。この言葉ひとつで拡がる世界がある。この方を中心にそれぞれの人物像が星のフィルターを通し語られているとの想いを馳せることが出来る。その関心から派生し、研究していたとしたら嬉しい限りだ。


《参考文献》

論文  近世神話としての『古事記伝』--「産巣日神」をめぐって 斎藤英喜


[二〇一六年度大会パネルセッション]

近世神話の射程と可能性─ 神話概念の拡大─

鈴木英之 斎藤英喜   金沢英之 山下久夫


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